「エリック・クラプトン、ボブ・ディラン、ジョージ・ハリスン、デイブ・ギルモア、ポール・マッカートニーの共通点は何か?」と訊かれて、即座に答えられる人はかなりのギター通だろう。
この5人に、ロン・ウッド、キース・リチャーズ、ロニー・レーンの3人を加えれば、「ゼマイティス・ギターを愛用するギタリスト」と気づく人もいるかもしれない。
ゼマイティス・ギターというと、ロン・ウッドやキース・リチャーズを思い浮かべる人は多い。
しかし、ゼマイティスを所有している有名ギタリストやベーシストが意外に多いことをご存知だろうか?

クラプトンが愛用するギターというと、ストラトキャスターやマーティン 000のイメージが強いが、彼とゼマイティス・ギターとの関係性はかなり昔まで遡る。
クラプトンは、少年時代に路上で弾き語りをしていたミュージシャンの大型ゼマイティス12弦アコースティックに魅せられて以来、ゼマイティス・ギターを何本も所有している。
その中で最も有名なのが、通称「イヴァン・ザ・テリブル」と呼ばれる20インチ・ボディを採用した超大型の12弦ギターである。

それ以前にも最初期のゼマイティス12弦アコースティックを購入し、2000年代中期には日本で製作されたアコースティックの6弦カスタム・モデルや同時期に製作されたメタルフロントを所有していた。
しかし残念なことに、いずれも何度か行われたギター・オークションに出品され、現在は所有していない。

ボブ・ディランとゼマイティスとの繋がりを知らない人は多いかもしれない。ボブは1986年のコンピレーション・アルバム『バイオグラフ』に付属する小冊子に、ボブがオーダーしたゼマイティス・アコースティックを弾いている写真が掲載されている。
彼はその他にも、数本のゼマイティス・ギターをオーダーしたようだ。

ピンク・フロイドのデイヴ・ギルモアは、2019年にクリスティーズで行われたオークションで、1969年製ブラック・ストラトキャスターを出品し、なんと4億2,700万円というオークション史上最高額で落札され、大きな話題となった。
彼はこの時それ以外にも数多くの楽器を出品したが、その中に長年所有した珍しいゼマイティス・アコースティック・ベースも含まれていた。

ポール・マッカートニーと言えば、ヘフナーやリッケンバッカーのベースを愛用することで広く知られているが、何本かのギターやベースをゼマイティスでオーダーメイドしている。
その内の1本(アコースティック・ベース)を、ウィングスの1979年のアルバム『バック・トゥ・ジ・エッグ』のプロモーション・ビデオの中で使用した。
またポールは、友人である巨漢プロレスラー、ジャイアント・ヘイスタックへのプレゼントとして、大型アコースティック・ギターをトニー・ゼマイティスにオーダーしたこともある。

ジョージ・ハリスンは、世界的なゼマイティス・ギター・コレクターとして知られるが、アコースティックの6弦と12弦を中心に数多くのゼマイティス製品を所有していた。
実際にいくつの製品を所有していたのかについては不明だが、写真で確認できるギターだけでも10本近くあり、それ以外にも数多くのゼマイティス・ギターを親しい友人ギタリストにプレゼントしていた。