一口に「ギター」といっても、エレクトリックからフラットトップ、クラシックなど様々なスタイルがある。
しかしギターの種類は異なっても、一般的には6弦から1弦に向かってE/A/D/G/B/Eと同じ音程にチューニングされている。
しかし、チューニングは同じでもいくつものスケールがあることをご存知だろうか?
ギターはブランドやモデルによって様々なスケールが使用されており、そのいくつかを紹介しよう…。

フェンダー・ストラトキャスターやテレキャスターは標準的なレギュラー・スケール(ロング・スケールとも呼ばれる)、約648mmを採用している。
ギブソンの場合は、レスポールなどの多くはやや短めの約629mmのミディアム・スケールを採用している。
またフェンダーでもムスタングなどは、約610mmというショート・スケールが採用されている(1964年の発売当初は572mmというさらに短いスケールのムスタングもあった)。

アコースティック・ギターの代表であるマーティンのドレッドノートは、約645mmのレギュラー・スケール。
また同じマーティンでも、000、00、0など小型のモデルには約632mmというやや短めのスケールが採用されている。
アコースティック・ギターも、ギブソンの場合はややスケールが短いモデルが多く、J-45やJ-160Eなどのラウンドショルダー・ドレッドノートの多くは、レスポールと同じ629mmのミディアム・スケールを採用している。
その他のアコースティック・ブランドでは、大方マーティンと同じスケールを採用しているところが多いが、コリングスなどは逆にマーティンより2~3mm長い648mmというスケールを採用している。

意外に知られていないのが、クラシック・ギターのスケール。
ナイロン弦を使用していることでテンションが柔らかいため、スケールが短いと思っている人が多いのではないだろうか?
しかし、標準的なクラシック・ギターは約650mmのスケールが採用されていて、ストラトキャスターやドレッドノートよりも長い。
もちろんクラシック・ギターの中にも645mm、640mmといったやや短いスケールの製品もあるが、逆に650mmを越えるさらに長いモデルもあり、全体的にはエレクトリック・ギターより長く設定されている。

では、何故こんなにもスケールのバリエーションがあるのだろう?
これは、そのモデルの製品コンセプトやキャラクター、メーカーの音に対する考え方の現れと考えていいだろう。
よりテンション感のあるトーンや力強いサウンドの製品にしようと考えれば、スケールを多少長くすることもひとつの方法として採用することがある。
しかし、スケールの長さは、ギターのトーンを考える上で単にひとつの要素に過ぎないことも事実だ。
本体のデザインや構造、使用材の種類やネックの形状、パーツや塗装に至るまで、総合的にそれらの仕様を組み合わせを考えていく中で、狙っているサウンドに近づけていくのが一般的なギター作りである。
それを考えると、マーティンの000とOMは基本的にスケール以外はほぼ同じ仕様であるが、この2つのモデルは似て非なる製品ということになる。