「ギター・オークション」というと、何度か行われたエリック・クラプトンの「クロスロード・ギター・オークション」をイメージする人は多いだろう。
クラプトンのトレードマークだったブラッキーやブラウニー、そして『アンプラグド』で使用された一連のヴィンテージ・マーティンなどが、次々にオークションに掛けられ、全て高額で落札された。
しかし、2019年6月20日にニューヨーク・クリスティーズで行われたデヴィッド・ギルモアの「ギター・オークション」は、そのクロスロード・ギター・オークション」を遥かに越えたスケールで行われ、大きな話題となったのを覚えているだろうか。

このオークションに出品されたデヴィッドのコレクションは、エレクトリック・ギターを中心に、アコースティック・ギター、ナイロン弦ギター、ベース、バンジョー、Eマンドリンなど計127本。
それらは、彼の長い音楽活動の中で愛用されてきた楽器はもちろんのこと、極めて希少なヴィンテージ・ギターやレアギター、カスタム・ギターなど、どれも貴重なコレクションばかり。
その中でも、デヴィッドのトレードマークとも言える1969年製のフェンダー・ブラック・ストラトキャスターは、彼の音楽活動を象徴するギターとして広く知られ、正しく彼の足跡そのものと言える。

このブラック・ストラトはオークションのフィナーレとして出品されたが、その落札価格はなんと3,975,000ドル(約4億3,000万円)!
ギター市場最高額を記録し衝撃と共にオークションは幕を閉じた。
そして、この日のギター・オークションの落札総額は、約23億円という恐ろしい数字を記録した。
デヴィッド・ギルモア / ピンク・フロイドの人気が如何に凄いかを、世界中に知らしめた結果となった。

その127本の中には、1954年のフェンダー・ストラトキャスター(しかもブロンド・フィニッシュ!)や1950年のフェンダー・ブロードキャスター、1958年のグレッチ・ホワイト・ペンギンなど、超一級のヴィンテージや78年に製作されたゼマイティス・アコースティック・ベースなど、極めてレアなカスタムモデルもあり、彼の楽器と音楽に対する強い拘りをアピールした。