世界には様々なギター・メーカーやギター工房、個人製作家が存在する。
特に個人工房で製作されるギターの中には、強い個性やオリジナリティが感じられるギターもあり、強烈なインパクトを持ったギターもある。

 サンフランシスコのベイエリアで製作活動を続けている松田倫宏(Michihiro Matsuda)という日本人のギター・ルシアーをご存知だろうか? 
完全なハンドメイドによって丁寧に製作される松田氏の作品は、豊かな創造性に満ち、成熟した楽器であると同時に、まるでアートのような特別な存在感を放っている。
松田氏はアコースティックもエレクトリックもアーチトップも製作しているが、多くのモデルはそういった従来のカテゴリーでは分類できないほど独自な構造とデザインを採用しており、世界から注目されている。

 写真の作品をご覧になれば、松田氏の作品がいかに創造性に満ちているかはすぐに理解できるだろう。
ソリッド・ギターの場合は、ボディやヘッドのデザインに関してはかなり自由度は高いが、彼の作品の大半はホロウ構造もしくはアコースティック構造を採用しており、その独自な構造をふまえたオリジナル・デザインにはただ驚くばかり。
松田氏はかつて有名な弦楽器修理工房に勤務し、また世界的なルシアーとして知られる、アービン・ソモジ氏の工房にも勤務した経験を持っている。
彼の作品は、単なるユニークなアイディアを形にしたモノではなく、伝統的な手法とギター作りのセオリーを十分にふまえた上で、独自な創造性とルシアーとしてのアイデンティティを大切にした作品を製作している。
それでは、それらの作品のいくつかを紹介しよう。 

左から①②③

①は、EAハイブリッド。
いくつもの異なる種類の木材を3次元的に加工し、アコースティック構造とを組み合わせた正しくハイブリッド・モデル。 

②は、ボディトップに使用済みの割り箸を一面に貼付けた何ともに斬新な発想のエレクトリック・ギター。
日本人ならではのアイディアというか…。 

③は、いくつかのモデルに採用されている階段状のステップド・ヘッド・デザイン。アールデコをイメージさせる超個性的なデザインである。 

左から④⑤

④は、2本のギターが重なり合ったようなWネック・ギター。向かって右側のモデルはヘッドレス仕様で、チューナーボタンはエボニー材からの手作り。 

⑤は、やはりヘッドレス・ギターだが、ボディトップのまだら模様が斬新。
なんとスプルーストップの表面に火薬をちりばめ、そこに火をつけてトップを一瞬にして焼くことでまだら模様を作り出している。