「アコースティック・ギター弦の選び方」というタイトルで、基本的な考えかたを① ②で紹介した。
この③では、ちょっとそれらとは別の角度から見た弦の選び方と裏技を紹介しょう。

アコースティック・ギタリストの中には、オープン・チューニングやボトルネック奏法を得意とする人がいる。
一口にオープン・チューニングと言っても様々なバリエーションがあるが、そのほとんどはダウン・チューニングと呼ばれるように、スタンダード・チューニングから音を下げてセッティングしている。
弦はスタンダード・チューニングを前提としてゲージが設定されているので、そこから半音や1音、時には2音以上下げてチューニングすると、弦のテンションがアンバランスになり音程も不安定になる。
そんなときは、ダウンさせる弦のゲージを1ランク上げてその音域に合わせた自分なりのオリジナルセットにアレンジするのも良い方法だ。
特にボトルネック奏法の場合等は、どうしても強く弾くため、ある程度弦のテンションがあるセッティングの方が望ましい。
ただしこの場合、チューニングを変えるたびに毎回弦を交換するのも現実的ではないので、できればスライド奏法専用のギターを用意したいところだ。

近年は、パーラー・ギターと呼ばれる、小型ギターがだいぶ普及している。

Traveler Guitar Redlands Concert, Spruce

Traveler Guitar Redlands Dreadnought, RD 105E, Spruce

Traveler Guitar Traveler Acoustic AG-105EQ

Traveler Guitar Redlands Mini, Spruce

パーラーの場合、モデルによっては極端にスケールの短い製品もある。
スケールの短いギターに細い弦を張ると、どうしてもテンションがゆるくなることで音程が不安定になる。
そんなときは、全体的に1ランク太いゲージの弦を張ることでテンションを補うことができる。
しかし、小さなギターに太めの弦を張ると、テンション感はアップするが、サウンドのブライト感は薄れてくる傾向がある。

ここで考え方を変えて、パーラー・ギターにあえて細いゲージの弦を張り、全体を1音~1音半ほど高くチューニングするという裏技もある。
この場合は、全体のキーは高くなるが、パーラー・ギター特有の煌びやかなサウンドと張りのあるテンション感はキープできる。
これはカポタストを使って演奏しているイメージに近いかもしれない。

裏技をもうひとつ。
フィンガーピッキングのソロギタリストは、弾きやすくするために細めのゲージを使用する人が多い。
また、ソロギタリストは曲のメロディを1、2弦で奏でることが多い。
そこで、基本的にライトゲージを使用している場合、1、2弦だけを1ランク太いゲージに交換しているプロギタリストは少なくない。
こうすることで、全体の弦にテンションはあまり変えずに、メロディラインをより力強く演奏することが可能となる。
また、フィンガーピッキング用として、最初から1、2弦だけをやや太いゲージにアレンジした弦も発売されている。

ギターのネックにはかなり強い弦のテンションが掛かっている。
フィンガーピッカーの中には、弦高調整をシビアに行っているギタリストも少なくない。
弦をライト・ゲージからエクストラ・ライトに変更したり、またその逆に太いゲージのセットに交換した場合等は、必ず弦高調整を行うことも忘れないようにしたい。

ギターの弦は、多くの人々が使用しやすいバランスのゲージでひとつのセットが構成されている。
しかし、それが自分の演奏スタイルや好みに合わないようであれば、自分なりのオリジナルゲージの弦をチョイスして張り替えるのも、ギターを楽しむひとつの方法ではないだろうか。

Rotosound Tru Bronze Extra Light 80/20 Bronze, TB10 (.010-.050)

Rotosound Tru Bronze Light 80/20 Bronze, TB11 (.011-.052)

Rotosound Tru Bronze Medium Light 80/20 Bronze, TB12 (.012-.054)