ウクレレの弦を購入する場合、色々と試した結果お気に入りの弦がすでに決まっている場合は良いが、なんとなく同じ弦を購入している人は意外に多い。
ギターやベースと比べてウクレレは本体が極端に小さくデリケートなので、弦が持つキャラクターの影響を受けやすい。
また近年は各社で弦の開発が進み、新たなブランドや新製品も登場しているので、新たな出会いもありそうだ。

弦を探す際に、まず最初に考えるのは「どんなサウンドが欲しいか?」ということ。
これがイメージできれば、そのイメージに近づけそうな弦を捜すことになる。
そこで知っておきたいのが、弦の素材によるキャラクターの違いである。
一般的なウクレレ弦は素材で分けると3種類ある。
それぞれ、サウンド、テンション感、ゲージ、価格帯、などが異なっているので、まずはその3種類を簡単に説明しよう。

①ナイロン弦
ナイロンは1930年代に開発された人工素材で、それまでのガット(動物の腸を加工した自然素材)に代わって、クラシック・ギターやウクレレなど多くの弦楽器に長年使用されてきた。
ナイロン素材は軽量だが、張力と柔軟性に優れ「ポロン、ポロン」という昔ながらの甘く優しいサウンドで広く親しまれている。
ブランドによっては半透明の製品とブラックの製品があり、半透明の製品は明るくブライトなトーン、ブラックの製品はやや落ち着いた太めのトーンが特徴となる。

②フロロカーボン弦
近年ナイロン弦に代わって多くのプレイヤーに愛用されているのが、フロロカーボンと呼ばれる素材を使用した弦。
フロロカーボンは70年代初頭に開発された素材で、フッ素、水素、炭素を原子レベルで結合させることで優れた強度を誇り、釣りのテグスなどにも広く使用されている。
ナイロンと比べると堅くテンション感があり、1音1音が粒立ちの良い輪郭のハッキリしたトーンになる。
単純な張力ではしなやかなナイロン弦の方が勝るものの、摩耗性と耐久性に優れている。
フロロカーボン弦の製品はナイロン弦よりやや細く、張力や気温の変化にも伸び縮みが少ないためピッチが安定している。
ただしトーンは堅めで、ウクレレによっては「パリン」としたサウンドになることもあるので、その点は理解しておこう。
メーカーによって半透明とブラックの2種類があり、ブラックの方がやや太めのサウンドとなる。

③ナイルガット弦
イタリアのアクィーラ・ブランドで知られるナイルガット弦。
これは昔のガット弦のニュアンスを新素材で再現するために開発された特殊なナイロン系素材を使用した製品で、ガット特有の繊細で優しいサウンドを再現している。
素材の手触り感や比重などもガットに近いが、ガットと比べるとかなり耐久性があり扱いやすいことから、この弦に拘るプレイヤーもいる。
ウクレレ以外にもナイルガットのギター弦も発売されている。

上記の弦の種類とキャラクターを理解することで、自分が求めるサウンドやテンション感にある程度近づけることができる。
例えば、ソプラノ・ウクレレのテンションがゆるく感じている場合、フロロカーボン弦を使用することでテンションを稼ぐことができる。
もちろんその逆もあるだろう。
また、スケールの長いテナー・ウクレレのテンションを緩和したい場合は、ナイロン弦やナイルガット弦を使用するとかなり緩和される。
また、温かみのあるマホガニー・モデルにフロロカーボン弦を張ると、よりメリハリのある明るいサウンドになる。
堅めのトーンのコアモデルにナイロン弦を張れば、透明感のある優しいトーンに誘導できるだろう。
そのウクレレの持つトーンと弦の持つキャラクターをうまく掛け合わせながら、自分の好みの方向に持って行くことができるというわけだ。
次回のコラム「もっと良く鳴るウクレレの弦選び ②」で、もう少し深く追求してみよう。

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Ukulele Nylgut Synthetic Gut, RS85S

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Ukulele Nylgut Synthetic Gut, RS85C

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