チャック・ベリーと共に、ブルースとロックンロールを融合した独自な音楽スタイルを生み出したロックンロール・シンガー・ギタリスト、ボ・ディドリー(1928~2008年)をご存じだろうか?

ミシシッピ州マコムに生まれたボは、音楽好きで幼い頃にヴァイオリンを手にするが、12歳の時に姉のルシールからギターをプレゼントされ、すっかりギターの虜になる。
ジョン・リー・フッカーに感銘を受けたボは、10代の頃からギターを手に路上で音楽活動を始める。
1955年、アメリカのブルース、R&Bの名門チェス・レコード傘下のチェッカー・レコードからデビュー・シングル「アイム・ア・マン」でデビュー。
このシングルがR&Bチャートのトップに上り詰める大ヒットを記録し、一躍スターの地位を獲得した。

そんなボ・ディドリーだが、写真は彼がデビュー前の路上パフォーマンス時代に使用した自作ギター。

彼は長い音楽活動の中で、いくつもの四角いシガーボックス・ギターを愛用し、自分のトレードマークにしている。
写真はそのルーツとなる最初のシガー・ボックス・ギターで、1945年に自分で作った正しくハンドメイド。
確かに見るからに、メーカーが生産したとは思えないハンドメイド感満載のエレクトリック・アコースティックである。
ボはデビュー以降も四角いシガー・ボックス・ギターを何本も愛用しており、かつてグレッチ・カスタムショップからオレンジカラーの四角いシグネチャー・モデルが発売されたのを覚えている人もいるだろう。
木箱にネックとエレクトリック・アッセンブリやブリッジ、ピックガードなどを取り付けたギターだが、ボディの下の方には、白いマーカーで「MADE BY ME BO DIDOLEY 1945 」と記されている。
ロックンロールの神様の出発点となったギターがこのシガー・ボックス・ギターというわけだ。
この写真を見ていると、ネックさえ手に入れば、自分でも作れそうだと考える人もいるのではないだろうか(写真は1993年に発刊されたギター写真集、プレイヤー別冊『RARE GUITAR MUSEUM』より掲載)。