前回に続いて、有名ギタリストのインタビューの中から、ジミ・ヘンドリックスに対する思いを語っている部分をピックアップして紹介しよう。

[ ERIC CLAPTON ]

 ジミは上手く歌えていると思うよ。
僕がボーカリストとして上手く歌えない部分も、彼はちゃんと表現できていると思う。
みんなもそれを受け入れている。
彼はギタリストとしても偉大だと思うね。
僕はあまり彼の映像を沢山観ているわけではないけど、彼の演奏を聴くのは大好きだよ。

イギリス人は、黒人に対して何か大きなと言うか、特別なものを抱いているように思うんだ。
彼らの黒魔術的なところや性的な表現が好きなんだよ。
黒人は大きなモノを持っているって考えているやつもいるよ。
ジミは、良い意味でそういうことも最大限に活用したんじゃないかな。
そしてみんながそれに夢中になって行った…。
しかしその裏には、信じられないような彼の音楽的な才能があったことは事実だ。
西洋の音楽シーンの中で、最も洗練されたミュージシャンの一人と言えるだろう。
彼にまとわりついているくだらないものを全てこすり落としてみると、素晴らしく才能にあふれた男の姿が見えるだろう。

[ ROBBEN FORD ]

 ジミ・ヘンドリックスは、確かに偉大なミュージシャンだよ。
彼は立派な音楽を創造し、そして自ら演奏した。
僕が好きでよく演奏する彼の曲は、バラードが多いね。
例えば「リトル・ウィング」とかね。

ジミは単なるミュージシャンと言うよりも、むしろ「現象」と言った方が良いかもしれない。
世界の音楽シーンにおいて、彼を知らしめたのは、音楽的な構成ではなく、むしろ彼が持つパワーとマジックだったと思う。

ジミ・ヘンドリックスよ、君がどこにいようと僕は君への感謝の気持ちをけっして失うことは無い。

[ JOHNNY WINTER ]

 オレはヤツのグルーピーで、ヤツはオレのグルーピーだったんだ。
何しろあの頃オレはヤツに狂っていた。
一緒にレコーディングしたり、ブラついたり、だべったりしていて…、色々とあったのさ。
まあ、とりたてて親友と言えるような間柄でもなかったけどね。
オレはヤツをとても尊敬していたよ。
だってヤツはその辺のギタリストなんかより、ずっとずっと上だと思っているから。
フィーリングもご機嫌だし、ギミックも文句ないくらい上手いよ。

ヤツと話をすると、いつも音楽のことばかりなんだ。
腰を据えて人生のことだとか、女のことだとか、ガキどものことを話したことは無かった。

ヤツとはずいぶんセッションもしたよ。
ヤツは誰とでもセッションしてた。
レコード会社の連中が、俺たちのセッションをレコードにしたがっていた。
オレがスライド・ギターを弾いて、ヤツがギターを弾きながら歌うんだ。
あの頃オレ達はただお遊びでセッションしていたんだけど、ヤツが死んだ後に出たレコードなんかより、オレたちの方がずっと良かったよ。
セッションしていたときのトラブルと言えば、お互いにソロを譲り合うので、ソロをほとんど弾かなかったことくらいさ。

ジミがなかなか出演できなかったマジソンスクエアガーデンでのライブをバックステージで観たんだけど、その時はゾッとしたね。
それまでオレが観たヤツのライブの中で、最悪だったよ。
ヤツはリハを終えて楽屋に戻るなり、一人でションボリと頭を抱えていた。
ヤツがあのショーをやりたくなかったのは分かるけど…。
ああいうのは、インスピレーションが湧いて初めてできることなんだよ。
結局最後は、歌の途中でギターを外してステージに座り込んでしまった。
そして観客に向かって「ゴメン、どうしても上手くやれないんだ…」って言っていた。
ヤツはその時すでに死んでいたのさ。