エリック・クラプトンが愛用するギターと言えば、フェンダー・ストラトキャスターとマーティン 000が広く知られている。
しかしそれ以外にも、ギブソン・レスポール・スタンダード、レスポール・カスタム、ES-335、エクスプローラ、SG、ファイアーバード Ⅰ、フェンダー・テレキャスター、ゼマイティス 12弦アコースティック、ギルド F-50、ローデン 0-38、ホセラミレス Ⅲ、ナショナルやドブロのリゾネーター・ギターなど、長い活動の中でいろいろなギターを使用していた。
さらに、意外に多いのがフルアコースティックで、いくつものアーチトップ・モデルを愛用している。
今回から数回に渡り、クラプトンが所有したフルアコースティック/アーチトップ・ギターのいくつかを紹介しよう。

[1956/1957 GIBSON Byrdland]

 クラプトンが愛用するフルアコースティック・ギターの筆頭は、やはりギブソン・バードランドだろう。
このモデルは、1950年代に活躍した人気スタジオ・ミュージシャン、ハンク・ガーランドと彼の親友ギタリストであるビリー・バード両名のシグネチャー・モデルとして1955年に誕生した。
「バードランド」というモデル名はその2人の名前から命名された。
17インチ・ワイドの大型高級モデルであるL-5(35-1/2インチ・スケール、20フレット仕様)をベースに開発されたが、バードランドには23-1/2インチのショート・スケールが採用され、22フレット仕様になっているのが最大の特徴となる。
エボニーの突き板がセットされたヘッドストックには、L-5と共通するフラワーポート・インレイが施され、ギブソン・ブランドを象徴する高級モデルとして存在感をアピールしている。

最初の写真はこのモデルのデビュー翌年にあたる1956年に生産されたバードランドで、アルニコⅤピックアップ(PU-480)を搭載した初期の製品。
クラプトンは、1994年~95年に行ったブルース・ツアーにおいて「フォーティ・フォー」などの楽曲でこのナチュラルのバードランドを使用し、アルバム『フロム・ザ・クレイドル』(1994年)のレコーディングでも使用した。
当時クラプトンは、57年製のサンバーストのバードランドも平行して使用したが、どちらも1999年の『エリック・クラプトン・クロスロード・ギター・オークション』で競売に掛けられ、それぞれ52,000ドル(ナチュラル)、38,000ドル(サンバースト)で落札された。

クラプトンは、この他にもバードランドを所有している。