今回もエリック・クラプトンが愛用するフルアコースティック・コレクションを紹介しよう。

[ 1952 GIBSON Super 400 ]

 数あるギブソン・フルアコースティック・モデルの中でも、最も大型の高級モデルとして知られるのが、スーパー400である。1935年に登場したこのモデルは、ギターが大きな音量を求めて大型化する中で、エレクトリック・ギターという新たなテクノロジーを採用した最強モデルとして登場した。
18インチ・ワイドの大型ボディを採用したフラッグシップ・モデルで、モデル名の「400」は当時の販売価格に由来する。
当初は一般的なパラレル・ブレイシング(縦に2本平行に組まれたブレイシング)ではなく、フラットトップのようなXブレイシングが採用されたが、39年からパラレル・ブレイシングに変更された。

 ヘッドストックには高級モデルの証として、スプリット・ダイアモンド・インレイが施され、エボニー・フィンガーボードには専用となるスプリット・ブロック・インレイがデザインされるなど、最上位モデルとしての存在感をアピールしている。
写真では分からないが、テイルピースも専用で下側から小さなイモネジを回すことで、ボディに対するテイルピースの角度を調整できる機能が付いている。

 写真は、エリック・クラプトンが所有した1952年製のスーパー400。
大型のボディはダークなサンバーストにフィニッシュされ、70年前に製作されたヴィンテージとしての貫禄と存在感が感じられる。
クラプトンは、このギターに対して「サウンドは素晴らしいが、自分はこのギターを弾くには小さ過ぎる」というコメントを残している。

[ 1940 GIBSON L-7 ]

 ギブソン L-7は、L-5の姉妹モデルとして1933年に発売された。
L-5はギブソンを代表する高級モデルであるため、一般的なギタリストが購入するにはあまりにも高価だった。
L-7は楽器としてのクオリティはL-5と同等ながら、中級モデルとして生産され、実質的なギブソンの主力商品となった。

 写真は1940年に生産されたL-7で、クラプトンが所有した1本。
生産から80年近く経過したギターとは思えないほど良いコンディションを保っている。
17インチの大型ボディは削り出しのスプルース・トップとメイプル・バックで、メイプル・ネック/ローズウッド・フィンガーボードと組み合わされている。
戦前のモデルらしく、ヘッドストックにはスクリプトロゴとフローディス・インレイが施されている。

 クラプトンがこのL-7をステージで使用している姿は見かけないが、プライベート・コレクションとして自宅で使用していたものと思われる。