[ 1978 GIBSON RD Series ]

 ギブソンが1977年に発表した独創的なモデルに「RDシリーズ」がある。
このシリーズには、最上位モデルのRDアーティスト、RDカスタム、RDスタンダードの3モデルあり、どのモデルも共通する個性的なデザインと仕様をベースにしている。

また、同じコンセプト・デザインを採用したRDアーティスト・ベース、RDスタンダード・ベースも同時に発売された。


ファイアーバードを彷彿とさせるメイプル・ボディとギブソンとしては珍しいロング・スケールを採用したメイプル・ネックも特徴的だが、最も異彩を放っているのがシンセサイザーの研究・開発で知られるロバート・モーグとの共同開発によって誕生した点だろう。

 RDアーティストとRDカスタムには、モーグが開発したアクティブ・サーキットが搭載され、コントローラー部分に大きな基盤がセットされている(RDスタンダードはパッシブ・サーキットを搭載)。
これまでにない豊かな音作りを可能とし、来るべき80年代を担うに相応しいモデルとして大いに期待されたが、ギブソン社の期待とは裏腹に市場の反応は極めて冷ややかだった。
発売時にギターマニアの間では話題になったが予想以上の苦戦を強いられ、この壮大なプロジェクトは80年代を目前としながらも生産が打ち切られた。
RDシリーズがトータル何台売れたかは明らかではないが、2000年以降その個性的なデザインがレア・ギター・マニアに再評価され、2007年と2009年にリイシュー・モデルが発売されている。

 写真は、1978年に制作されたギブソンの総合カタログから。
3ページに亘り大きく紹介され、当時のプライスリストではカバーまで飾っている。
カタログはシンプルで贅沢なデザインを採用しているが、どのページも右上には掲載している製品とは全く関わりのないモデルの製作風景がレイアウトされている。