[ OVATION Viper & Preacher ]

 オベーションは、リラコード素材を使用したラウンドバックという独自な構造を採用し、1966年のデビュー以来エレアコの先駆けとして音楽シーンを牽引してきた。
しかし、アコースティック・ギターのみならず、1967年以降はストーム・シリーズやサンダーヘッド・シリースなどのES-335タイプのセミアコースティック・モデルや、ブレッドウィナー、ウルトラGP、UK-Ⅱなどのソリッド・エレクトリック・モデル、またいくつものベースを発売している。
今回は、1970年代中期に制作されたオベーションのソリッド・エレクトリック、ヴァイパーとプリーチャーのパンフレットを紹介しよう。

 ヴァイパーとプリーチャーはそれぞれ独自の仕様を採用しているが共通項も多く、基本的には姉妹モデルと考えても良いだろう。
パンフレットを見ても、二つのモデルは同列に紹介され、その共通項と違いを紹介している。
ヴァイパーはシングル・カッタウェイ・ボディ、プリーチャーはダブル・カッタウェイ・ボディを採用しているため、そこだけを見るとヴァイパーがLPタイプのようにも見える。
しかし、このモデルは25-1/2インチのロング・スケール、シングルコイル・ピックアップを採用し、プリーチャーは24-3/4インチのミディアム・スケール、ハムバッカー + 4コントロールを採用しているところがユニークだ。
どちらも24フレット仕様で、ハイポジションへのアクセスを容易にしている。
後にヴァイパーは3シングルコイル・ピックアップを搭載したヴァイパーⅢが追加発売され、プリーチャーはより豪華なプリーチャー・デラックスやプリーチャー12ストリングなども発売されたが、どのモデルも今ひとつセールスが伸び悩み、70年代末に生産が完了した。
発売から40年近く経過した現在は、中古市場でもほとんど見かけることはなく、レアモデルのひとつとして一部のマニアのコレクターズ・アイテムとなっている。
ボディのデザインだけを見ると、今ひとつブランドが分かりにくいが、特徴的なヘッドストックがオベーションとしてキャラクターを強くアピールしている。